像が壊れる前に
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【像が壊れる前に】


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像が壊れる前に

像が壊れる前に!

基本的に自分で修理しようとはせずに、修理者に頼むのがbestの選択です。
自分でやった結果、さらに悪くなるというのは、実はよくある話なのです。
また、その状態から復旧させるには、さらに、大きな手間と時間がかかることになります。
ですから、すでに壊れてしまったものに関して、まず、重要なのは、それ以上、 部材が散逸するのを防ぐことです。
一度、壊れが始まると、加速度的に壊れていきます。
その状態の中で多くの場合、部材が他のものに混じったり、捨てられたり、なくなっていきます。
ですが、どんなに壊れても、部材さえあれば、修理できますので、部材がなくならないように ひとまとめにしておくことが、後の修理のために大切であろうかと思います。

仏像は全く動かさないで、ほおっておいても、徐々に壊れていきます。
ですから、数十年〜百年単位ではどうしても、メンテナンスが必要となります。
どんなに保存状態がよくとも、大なり小なり必要な時期に修理を受ける必要があるのです。


■ まだ壊れていないものは?
 
では、まだ、壊れていないものに関してはどうしたら良いでしょうか?
これに関しては、そんなに難しいことはありません。
寺院によっては、温湿度管理の宝物館を作ったりすることもありますが、それができるのは、ごく一部の人のみです。
ですが、 そこまでしなくとも、いろいろできることがあります。

1.まず、換気をよくすること。
湿度が高いとカビ、や虫が繁殖しやすくなるため、空気がこもらない様によく換気をしてください。
また、常に周辺を綺麗に掃除しておきましょう。

2.近くに食料を置かない。
食料のあるところには鼠なども居つくため、仏前などに供え物をおくと、鼠などが仏像に巣を作ることがあります。
ですから、供えても、なるべく早く片付けた方が良いかと思います。

3.直射日光はさけ、温湿度差が激しいところには安置しない。
日光や、温湿度の大きな変化は物の劣化を促進します。
なるべく日の当たらない、環境の安定した暗いところがモノには優しい状況です。
特に直射日光などには当たらないように注意してください。
漆にせよ、彩色にせよ変色がとても、起こりやすくなります。

4.掃除する時は、はたきなどで優しく、ホコリを落とす程度にする。
素地像や漆箔像の場合、まだ、丈夫ですが、彩色像を布巾などで擦ると彩色がはがれます。
笑い事ではなく、仏像を水拭きたら、彩色が全部落ちたなどという話があります。

5.剥落や破片、部材が取れたらなくならないように保管する。
その辺に置いておいたら、絶対になくなります。


どうでしょう?
日常のちょっとしたことが、結構大切だとわかって貰えたでしょうか。
こうしたことに気を使うだけで、修復のスパンを長く保つことが可能になるはずです。
修理は数十年〜百年単位ではどうしても必要なものですが、しないですむなら、それに越したことはありません。
軽く見られがちですが、本来、修理技術より保存技術のほうが重要だといえます。
仏像は全く動かさないで、ほおっておいても、徐々に壊れていきます。
ですが、そうした日々の管理で壊れのスピードを遅くすることができるのです。


(物の大きさと壊れの程度にも寄りますが、 修復には、膨大な時間とお金がかかることがあります。 場合によっては、新しく造像するのと同等の費用がかかることもあります。 ですから、実際のところ、そういった修理を受けられるのは、文化財の指定物件であるか、 裕福な寺院の像であるか…ごく一部であるというのが現状です。 運がよければ、大学や各種研究機関で、学生の実習用などで、格安で修理を受けられる例もありますが、 宝くじにでも当たるような確率であろうと思います。)

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