金箔の下の赤い色…の秘密
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【金箔の下の赤い色…の秘密】


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金箔の下の赤い色


さて今回は、ヨーロッパのとある地味な教会で見た、金箔の張り方につ いてです。
それを見たとき、初めに感じたのは、人間何処へ行っても考えることは同じだ、 ということでした。

皆さん…赤い仏像って見たことありますでしょうか?
えぇ、頭の先から足の先まで真っ赤な像です。
ほとんど真っ赤というのは少ないですが、たまにそういう仏像があります。
べつに、特別にそういう種類の仏像があるわけではないんですよ。
単純に、赤漆の上の金箔や彩色が落ちただけだったりします。

多くは江戸時代ぐらいになりますが、金の発色を良くする為に赤い漆を塗って から、金箔をはるんですね。
そうすると、金箔って薄いから、下の色をとおして、結構、明るい金の色になり ます。
さらに、金がはがれても、そんなにはがれたところが目立たない!というかなり 、実用的な意味合いもあります。
古いものだと、黒っぽい漆の上に金箔が張ってあるんで、金がはがれたところが、すごく目立ちます。
でも、そういうことを知ってると、むしろ、そういう仏像の方に風情を感じてし まったりするんですが…。

…そういうわけなんで、頭の先から足の先まで真っ赤な仏像がいたら、愛 染明王みたいな体の色がもともと赤く設定されている像を除いて、 金箔がキレイに落ちただけだと思ってください。
しかも、その像はだいたい江戸時代のものです。

コレは日本の江戸時代頃の話。
場所が変わってヨーロッパ。
金箔が貼ってある建築部材を見てみると…。
同じでした。
金箔の下は、赤い塗料が塗ってありました。
はがれ具合も、日本の仏像のはがれ具合とにてる…。

まぁ、赤漆じゃなくて、多分、油絵の具なのかなぁ?ぐらいなかんじです。
油絵の具については素人なんで、全然わからないです。
でも、見た目はおなじ。
人の考える事は同じだねぇ…と思いました。

教会側にとって、金が剥がれるたびに修理するのは面倒だし、金がかかる。 ですから、職人に言ったんでしょうねぇ…。

「擦れてもはがれない金箔をつくってくれ!でも、そんなに金もだせねぇ!」
職人側からいわせると、
「ケチだなぁ…でも、出してくれる金の範囲でやるだけやってみますよ…。」
その妥協点が、金箔の下の赤い色…そんな感じかもしれません。

金の延べ板を使ったらこすっても剥がれないけど、金がべらぼうにかかる。
今までと変わらない金額で、擦れても剥がれない金箔を作るには、発想の転換が必要だったんでしょう。
擦れても擦り切れない金箔を作るのではなく、擦り切れても目立たなければいい。
…そんなかんじです。

非常に合理的な思考ですね。
んで、感じたのは、合理的な思考っていうのは、民族とか文化をこえて、同じ解 決策を導き出すってことです。
つまり、ここでは、金箔の下の赤い色ってことですが、他にも、ものを作る上で の共通点がいろいろあります。
そういうことで、思い出したこともおいおい書いていくかもしれません。

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