仏師の紹介 吉田安成氏
不空羂索観音/国宝/重要文化財

仏師、吉田安成 氏の紹介です

仏教の基礎知識

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私の友人でもある
仏師、吉田安成 氏の紹介です。。

彼の造る仏像って、見れば分かりますが、すごいです!
まず、非常に彫刻的で、繊細なんです。

彼は、古典が好きなんですよね。
特に天平が好きだそうです。

天平時代は長い仏教のと仏像の歴史の中で、もっとも複数の仏像制作技術が発達し、 造形的にも最高潮を迎えた時期でした。

東大寺の法華堂の諸尊…不空羂索観音…日光、月光… 興福寺の阿修羅像…
有名すぎる多くの像はこの時代に、作り出されました。
彼自身、勉強のために、こうした時代の仏像に関する資料… 1冊、数万円もするような本を何冊ともなく持っています。

鎌倉時代、運慶が天平彫刻を修理によって学び、それを自分の造像に生かしたことは 非常に有名ですが、彼もまた全く同じです。
単に仏像を作る人ではなく、よりよい、よりかっこいい… 造形を目指して、本気で勉強しているのです。

彼は、また、ごく身近良い期間ですが、日本で唯一、国宝、重要文化財が 修理できる(財)美術院にいたことがあります。 身近に、そうした、最高の仏像を見る機会が…勉強する機会が、たくさんありました。 この期間は、彼にとって、ある意味、彼のつくる仏像に変化をもたらした時期かもしれません。

彼はまだ若いです。 30前後ですが、すでに、15年以上仏像に関わっています。
? …15年
そう、彼は中学を卒業して、すぐに、 富山県の欄間彫刻で非常に有名な 井波に、木彫士として、修行に出ます。
今では、こんな選択支をする人っていないですよね。 それくらい、彼の中では、木彫って言う物が自然でした。

正直、彼の彫刻の腕前はずば抜けたものがあります。 僕の3段階以上は腕前が上ですね。 百貨店などで、個展を見ても、彼のレベルのものは、正直見たことがない。 それぐらいの腕前です。

こうした、伝統技術の手仕事の腕前っていうのは、早ければ早いほど良い とされます。 普通、小学生ぐらいから、やらないと身に付かないとなどと言いますが、 彼を見てると、それを思い知らされます。 大学生ぐらいからでは、全然、仕事の質が違ってしまうんですよね。 造形的なセンスというのは後からでも伸びますが、 技術のレベルはある程度早いうちからやらないと伸びません。

彼の場合は、造形センスと技術的な2つの面でもっとも高いところにある、貴重な存在です。
また。性格もあるんでしょう。 こだわる人間でないと、やはり、良いものは作り出せません。
7〜80点でつねに、満足している人間には、やはり、それなりものしかできません。
しかし、 彼は、こだわります。 もう、あきれるぐらいに…。
いや、ほんとに、みてて、あきれます。 ず〜っと、とことんやっているんですよね。
儲けがどうとか、割に合わないとか、そんなんじゃなく、単純に、こだわるのが 好きなようです。 コレはすごい。
彼の師匠はそんな彼を見て、「そこまで、やんないでいいよ!」 といったそうです。 彼のこだわりは、本気で筋金入りです。

さて、 鎌倉時代以降、仏像って言うのは造形的に堕落してい くと言われます。 厳しい言い方かもしれませんが、確実に、人形化していきます。 言葉を変えるなら、彫刻的でなくなっていきます。 そこには、正直、人以上のものを造るという意識ではなく、すでに、 できあがった形のものを、ただ、単純に踏襲していくという、 心の流れしか感じ取れません。

そして、現代…。
知ってますか? 仏像って、今ではほとんど、9割ぐらいは外国で造られているんですよ。 台湾や東南アジアだそうです。
人件費が安いと言うことが一番の理由です。
それは、安いでしょうが…。 でも、人件費対策でつくられた仏像を拝むのは、ちょっとイヤだなと思います。

もし、あなたが本気で木彫の仏像が欲しいと思ったら、多分、仏具屋さんとか、百貨店に 行くかもしれません。
でも、多分、そういうところでは、良いものは正直手に入りません。 お金を出しても、もう、日本に良い仏師自体がいないんです。

彼は、僕が見た中でも、確実に力のある仏師の一人です。 ただ、知名がないだけです。 また、彼自身に商売っけも、全くない…う〜ん。 ある意味、典型的芸術家です。

正直、そんな彼をもり立てたいなと思って、このページを作成しました。 もし、あなたが、ここに掲載されている仏像をみて気に入ってくださったら 幸いです。一緒に、彼を応援しませんか?

御意見ご感想・また、お問い合わせありましたら、ぜひどうぞ。

千手観音
■ 不動明王立像 ■

かなり大きい像に見えませんか?でも、実物は意外に小さいんですよ。 20cmぐらいでしょうか。
彫りが非常に細かく、プロポーションもしっかりしているので、小さい像でも 大きく見えるんです。 このレベルの仕事は今では、出来る人が、なかなかいないと思います。

後ろのカルラ炎(火の鳥)まで、手を抜かずに彫っています。 像をどけて、この光背だけをみても、驚くくらいですよ。 ほんとに、彼の仕事に対する厳しさには感服します。


千手観音
■ 観世音菩薩立像 ■

法隆寺の名品、救世観音を彼風にアレンジしたものです。彼が、最初に造った作品でもあります。 非常に上品なしあがりです。 彼の造るものは、荒々しいと言うより、優美で上品…しかし、中に芯が通っているという感じがしますが、この時期のものは、かえって、塊感があって、魅力的です。


千手観音
■ 菩薩半跏像   木心乾漆像、造像途中 ■

天平時代に流行った木心乾漆像を造っているところです。 彼、こういうところ、本当に勉強家なんですよね。
それにしても、台座…すごいですよ。 一部の隙もないくらいに、彫り込んでいます。


千手観音
■ 宝珠 ■

宝珠です。 おまけで造ったと言ってましたが…。正直、気軽によくこんなもの作るなと思います。 唐招提寺:千手観音の持物の宝珠がこの形式の物です。 非常に古風な形です。


千手観音
■ 菩薩立像 ■


まだまだ、ありますが…少しづつ紹介していきたいと思います。
楽しみにしてください。


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