■ アフロ仏■
|
仏像の髪型って、特に如来の髪型って、みんな同じだと思ってませんか。
まあ、如来に限定すればアフリカの人のように、チリチリと短く渦巻いてたりします。
大日如来のように、普通？の髪型をした仏もいますが、あれは例外中の例外。
大日如来を除いてはたして、如来には髪型の自由がないのでしょうか？
というのが今日のお題です。
|
仏像の髪の毛の基本について話ときましょう。
あの髪の毛のぶつぶつを螺髪（らほつ）とよびます。
螺髪は、頭と共彫りの物もありますが、大きい像だと、１個１個作ってたりし
ます。
めんどくさいですよね…。
見習いが作ったんでしょうね、多分。
仏の３２相の中には「髪の毛は上になびき、右に巻き紺青色」というくだりが
あるので、基本的には右回りに作ってるハズなんですが、結構そうじゃないの
も多かった気がします…（記憶なんで違ってるかもしれません）
東大寺 大仏の螺髪
■ 直径が約22ｃｍ、高さが約21ｃｍ、重さは約1200ｇ■
|
同じく仏像の髪の毛が大体、青く染められているのも、このくだりが理由とな
ってます。
つまり、如来の髪の毛の髪質は…青くて右向きに巻いた巻き毛…ということに
なります。
青く髪を染めたアフリカの人を想像するとわかりやすいですね。しかも、大きなこぶを作っている状態です。
この髪質で、どんな髪型ができるでしょうか？
菩薩系の”もとどり”は不可能そうですね。
…やはり、出来るとしたら、髪の毛を編むとか…ぐらいかな？
いやいや
…実は、意外にも、もっと、大技が出来たりするのです。
なんと アフロ ！
アフロ如来
アフロの阿弥陀です。
実は阿弥陀如来、昔はインドの王子でした。
ところが、彼は 世自在王 の説法を聞き、感動し、王位を捨てて出家をしてし
まいました。（このへん釈迦と同じです）
しかし、彼の場合、如来になるまでに、無茶苦茶時間がかかったんですね。
その時間、五劫 です。五劫…この時間、彼は、どうしたら衆生救済できるか考
え続けたんですね。
その結果、髪の毛が伸び放題になってしまったというわけです。
一見して、アフロのように髪の毛が丸くふくらんでることから、
アフロの弥陀…いやいや、五劫思惟阿弥陀如来 などと呼ばれております。
■ アフロにも、実にいろいろな形があります。 合掌■
さて、この【五劫】ですが一体どれ程の時間か？
その前に、皆さん、「寿限無（じゅげむ）」っていう、落語をごぞんじでしょう
か？
この「五劫」はその中にも出てくるんですよ。
「寿限無 寿限無、五劫（ごこう）のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、
風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこ うじのぶらこうじ、パイポパ
イポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイ
のポンポコピーのポンポコナの長久命の長助」
ね。あるでしょう。
落語の中で「五劫のすりきれ」の説明を抜粋しますと…。
「一劫というのは、三千年に一度、天人が天下って、下界の巌を衣でなでるのだ
が、
その巌をなでつくしてすりきれてなくなってしまうのを一劫という。それが五劫
というから、何万年、何億年かかぞえつくせない」
だそうです。
もっともこの「劫」の長さについては３００年に一度とか、１００年に一度とか、いろいろな説があってあまりはっきりとはしません。
ようするに、気の遠くなるような時間、とだけ理解しておけば良いかと思います。
それにしてもえらく長いですね。
といいますか、岩がすり切れてなくなるなんて、数億年かかっても無理だと思い
ます。
三億年だとしても、たかだか、３０万回。この程度で、岩がすり切れるのか？
この調子だと数十億年…地球が出来た頃から、天女に岩をこすってもらわない
と…。
計算があわねぇ。
インドも当然まだ存在しねぇ。
しかも、人間がまだ、生まれてねぇ…。
というか、地球がすでに、存在するのか否かが微妙だ。
ともかく、アフロの阿弥陀、数は多くないので見かけたら得した！
と思ってください。
…―…―…―…―…―…―…―…―…―…―…―…―…―…―…―…―…
有名なアフロの阿弥陀の紹介
■ 重要文化財･奈良･東大寺 （所在勧学院）
■ 重要文化財･奈良･五劫院
五劫院の五劫思惟阿弥陀如来が見られるサイト
